相続で揉める家族の特徴とは?|揉めた場合の対処法や予防法を紹介
被相続人の遺産をどのように分けるかを決める相続は、家族の絆を深める場面でもあります。しかし、相続人同士の意見が対立し、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。
そこで今回は、相続で揉める家族の特徴や、揉めた場合の対処法や予防法について、弁護士の視点から解説します。
●相続で揉める家族の特徴
相続で揉める家族の特徴は11個あります。
・兄弟の関係性が悪い
・遺産が実家の不動産のみ
・遺産に不動産が含まれている
・特定の相続人に介護の負担が偏っている
・高額な生前贈与受けた人がいる
・特定の相続人が財産を管理している
・不公平な遺言書
・被相続人に認知していない子どもがいる
・事業家や経営者が亡くなった
・被相続人に内縁の配偶者がいる
・財産を独占したい相続人がいる
1つずつ解説していきます。
◯兄弟の関係性が悪い
兄弟同士の信頼関係がなければ、遺産の分け方について意見が対立し、トラブルに発展する可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・遺産の分け方について、兄弟同士で不公平感を感じる場合
・兄弟同士の過去の確執やトラブルが遺産相続に影響する場合
・兄弟同士のコミュニケーションがうまく取れず、話し合いが進まない場合
兄弟の関係性が悪い場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯遺産が実家の不動産のみ
遺産は、現金や株式などの流動資産と、不動産などの非流動資産に分けられます。相続で揉める原因として、非流動資産の分割が難しいことが挙げられます。
不動産は、売却する以外に分割する方法が限られています。そのため、相続人が複数いる場合は、誰が実家を継ぐのか、相続金額をどのように決めるのかなど、さまざまな問題が生じる可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・誰が実家を継ぐのかをめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・不動産の評価額や相続税対策をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・不動産の管理や維持にかかる費用をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
遺産が実家の不動産のみの場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯遺産に不動産が含まれている
不動産は、現金や株式などの流動資産と異なり、分割が難しい財産です。
そのため、相続人が複数いる場合は、不動産の評価額や分割方法、売却の可否などについて意見が対立し、トラブルに発展する可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・不動産の評価額や相続税対策をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・誰が不動産を継ぐのかをめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・不動産の管理や維持にかかる費用をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
遺産に不動産が含まれている場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯特定の相続人に介護の負担が偏っている
特定の相続人に介護の負担が偏っていた場合、その相続人は、その貢献に対して他の相続人より多く財産を分けてもらいたい(寄与分の主張)と考えるかもしれません。
民法上も、介護による貢献を考慮して、寄与分が認められる可能性が高いです。しかし、寄与分の有無や金額の計算方法については、考え方が一つではないため、相続人間で争いになってしまうケースがよくあります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・寄与分の有無や金額をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・寄与分を認めなかった場合、介護を行った相続人が不満を抱き、相続で揉める場合
特定の相続人に介護の負担が偏っている場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯高額な生前贈与を受けた人がいる
高額な生前贈与を受けた相続人がいる場合、その相続人は、生前贈与によってすでに遺産を受け取っているため、遺産の分け方について不満を抱く可能性があります。
また、他の相続人からすれば、高額な生前贈与を受けた相続人が、遺産を多く相続するのは不公平だと感じ、揉める可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・高額な生前贈与を受けた相続人が、その贈与分を相続財産に持ち戻して、遺産の分け方について主張する場合
・高額な生前贈与を受けた相続人に対して、他の相続人が不満を抱き、相続で揉める場合
高額な生前贈与を受けた相続人がいる場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯特定の相続人が財産を管理している
特定の相続人が財産を管理していた場合、その相続人は、財産の状況を把握しており、その情報を利用して、他の相続人に不利な遺産分割を主張する可能性があります。
また、他の相続人からすれば、特定の相続人が財産を管理していたことに不満を抱き、相続で揉める可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・特定の相続人が、財産の評価額や相続税対策を有利に進めるために、他の相続人から情報を隠す場合
・特定の相続人が、財産を勝手に処分したり、借り入れをしたりして、他の相続人の権利を侵害する場合
特定の相続人が財産を管理している場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯不公平な遺言書
遺言書が残されていれば、その遺言書の内容に従って遺産が分割されます。
しかし、遺言書の内容が不公平であると、相続人同士で意見が対立し、トラブルに発展する可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・遺言書の内容が、相続人同士の経済状況や親族関係などに照らして、不公平であると感じる場合
・遺言書の内容が、被相続人の意思を尊重していないと感じる場合
不公平な遺言書が残された場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯被相続人に認知していない子どもがいる
被相続人に認知していない子どもがいる場合、その子どもは、法定相続人として、遺産を相続する権利を有します。
しかし、被相続人の配偶者や、被相続人の血族である相続人からすれば、認知していない子どもが相続人となることに不満を抱き、相続で揉める可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・認知していない子どもが、被相続人との関係が薄いと感じる場合
・認知されていない子どもが、被相続人の財産を不当に得ることになると感じる場合
被相続人に認知していない子どもがいる場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯事業家や経営者が亡くなった
事業家や経営者が亡くなった場合、その遺産には、事業や経営に関する財産が含まれることが多いと考えられます。
事業や経営に関する財産は、通常の財産とは異なり、複雑で評価が難しい場合が多く、相続人同士で意見が対立し、トラブルに発展する可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・事業や経営に関する財産の評価額や、その事業や経営を継ぐ者をめぐって、相続人同士で意見が対立する場合
・事業や経営に関する財産を相続したことにより、相続人同士の経済状況が大きく変わる場合
事業家や経営者が亡くなった場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯被相続人に内縁の配偶者がいる
内縁の配偶者は、法律上の配偶者ではないため、法定相続人として相続する権利を有しません。そのため、被相続人の遺産を相続しようとする内縁の配偶者と、法定相続人である血族や配偶者との間に、相続権をめぐる争いが生じる可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・内縁の配偶者が、被相続人と長年にわたって共同生活を営んでいたにもかかわらず、法定相続人として遺産を相続できないことに不満を抱く場合
・内縁の配偶者が、被相続人の財産を相続することで、法定相続人の経済状況に不公平が生じる場合
被相続人に内縁の配偶者がいる場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
◯財産を独占したい相続人がいる
財産を独占したい相続人がいる場合、他の相続人から不満を抱かれ、相続で揉める可能性があります。
具体的には、以下の理由が考えられます。
・財産を独占したい相続人が、他の相続人に対して、遺産分割の話し合いを拒否したり、強引な主張をしたりする場合
・財産を独占したい相続人が、他の相続人に対して、経済的圧力や脅迫を加える場合
財産を独占したい相続人がいる場合、相続で揉める可能性が高くなると考えられます。
●相続での揉めごとを予防する方法
相続での揉めごとを予防する方法を4つ紹介します。
・話し合いをおこなう
・遺言書を作成する
・家族信託を利用する
1つずつ解説していきます。
◯話し合いをおこなう
相続での揉めごとを予防するためには、相続人同士で話し合い、遺産の分け方について合意しておくことが重要です。
相続人同士で話し合い、遺産の分け方について合意しておくことで、以下のメリットがあります。
・相続人同士の意思疎通を図ることができ、遺産分割のトラブルを未然に防ぐことができます。
・相続人同士が納得できる遺産分割を行うことができます。
相続での話し合いは、相続人同士の感情や、経済状況など、さまざまな要素を考慮して行う必要があります。
相続後の遺産管理や相続税の申告などの手続きがスムーズに進みます。
◯遺言書を作成する
相続での揉めごとを予防するためには、遺言書を作成しておくことが重要です。
遺言書が残されていれば、その遺言書の内容に従って遺産が分割されます。
遺言書を作成しておくことにより、以下のメリットがあります。
・相続人同士で遺産分割の話し合いをする必要がなくなり、トラブルを未然に防ぐことができます。
・被相続人の意思が尊重され、相続人同士が納得できる遺産分割を行うことができます。
相続税の申告や、遺産管理などの手続きがスムーズに進みます。
遺言書を作成する際には、以下の点に注意が必要です。
・遺言書の内容を明確に記載する
・遺言書の方式を守る
・遺言書を保管する場所を決める
また、遺言書の作成を検討する際には、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、相続に関する法律や手続きについて的確なアドバイスをすることができ、遺言書の作成や、相続トラブルの防止に役立つことができます。
◯家族信託を利用する
相続での揉めごとを予防するためには、家族信託を利用するのも有効な手段です。
家族信託とは、被相続人が信託契約を締結し、信託財産を信託受託者に預け、信託受託者が、信託契約に定められた目的に従って、信託財産を管理・運用・処分する制度です。
家族信託を活用することで、以下のメリットがあります。
・相続人同士で遺産分割の話し合いをする必要がなくなり、トラブルを未然に防ぐことができます。
・被相続人の意思が尊重され、相続人同士が納得できる財産管理を行うことができます。
相続税の申告や、遺産管理などの手続きがスムーズに進みます。
家族信託を利用する際には、以下の点に注意が必要です。
・家族信託の目的を明確にする
・信託財産を適切に選定する
・信託受託者を慎重に選定する
●相続でもめた場合は弁護士に相談を
相続で揉めたときは、弁護士に相談することをおすすめします。
相続は、被相続人の遺産をどのように分けるかを決める重要な場面です。その際に、相続人同士で意見が対立し、トラブルに発展する可能性があります。
弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。
・相続に関する法律や手続きについて、的確なアドバイスを受けることができます。
・相続人同士の話し合いを仲介し、円滑に進めることができます。
・訴訟などの法的手続きを代理して行うことにより、相続トラブルの解決を支援することができます。
相続で揉めたときは、感情的にならず、冷静に状況を判断することが重要です。また、一人で解決しようとせず、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、相続に関する法律や手続きについて豊富な知識と経験を有しており、相続トラブルの解決に役立つサポートを受けることができます。
具体的な相談内容としては、以下のようなものが挙げられます。
・遺産分割の話し合いの進め方
・遺産分割協議書の作成
・遺産分割調停の申立て
・遺産分割訴訟の提起
相続で揉めたときは、お早めに弁護士にご相談ください。
●まとめ
相続は、被相続人の遺産をどのように分けるかを決める重要な場面です。しかし、相続人同士の意見が対立し、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。
相続で揉める家族には、以下の特徴があります。
・相続人同士の仲が悪い
・相続財産に不動産などの大きな財産がある
・生前贈与や遺贈が多く、相続財産の額に差がある
・被相続人の財産管理を特定の相続人が行っていた
・被相続人に内縁の配偶者や、認知していない子どもがいる
これらの特徴は、相続人同士の感情や、経済状況など、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで、相続で揉める原因となります。
相続で揉めた場合の対処法として、相続人同士で話し合いをする場合、まずは、相続財産の調査を行い、遺産分割の対象となる財産を把握することが重要です。また、相続人同士で意見を出し合い、合意点を見出すように努めましょう。
話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、相続に関する法律や手続きについて的確なアドバイスをすることができ、話し合いの円滑化や、トラブルの防止に役立つことができます。
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